キャリアアップ助成金・短時間労働者労働時間延長コースとは?

現在の日本において、企業に雇用されている人の約4割は非正規雇用者であり、どこの職場にも短時間勤務のパートやアルバイトの労働者が大なり小なりいるものです。

中には、本人の希望で短時間しか働きたくない、働けないという人がいますが、もっと働きたくても勤務先の意向で働けないという人も少なくありません。

短時間労働者の場合は厚生年金や社会保険に加入できないこともあり、将来に対する安定した生活が得られません。

そこで、労働時間の延長を望む短時間勤務のパート・アルバイトなどに対し、勤務時間を延長した事業者は国から助成金が支給されます。それが、「キャリアアップ助成金・短時間労働者労働時間延長コース」です。
【対象労働者】
助成金の受給対象となる労働者は以下の5つの条件を満たしている人です。
①申請事業主に雇用されている有期契約労働者等である。
②週所定労働時間が延長された日の前日から起算して過去6ヶ月間、社会保険の適用を受けていない。
③週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主、及び取締役の3親等以内の親族(血族・姻族)ではない。
④助成金の支給申請日において離職していない(本人の都合による離職を除く)。
⑤労働時間の延長をした場合、以下の5つの条件のいずれかに該当する(実質の手取り額が減少しないようにするため、延長後の基本給の上昇が以下に該当する)。

労働時間の延長(週所定労働時間)延長後の基本給の上昇
1時間以上2時間未満延長した日の前日から6ヶ月以上継続雇用されている13%以上
2時間以上3時間未満延長した日の前日から6ヶ月以上継続雇用されている8%
3時間以上4時間未満延長した日の前日から6ヶ月以上継続雇用されている3%以上
4時間以上5時間未満延長した日の前日から6ヶ月以上継続雇用されている2%以上
5時間以上延長した日の前日から6ヶ月以上継続雇用されている-

短時間労働者の勤務時間を5時間以上延ばせば、基本給をアップさせる必要はありません。また、基本給が13%以上アップすれば、延長時間が1時間以上で助成金の受給対象となります。

対象事業主

助成金の受給対象となる事業主は以下の5つの条件を満たしていることが必要です。

①雇用する有期契約労働者等を新たに社会保険に適用させる。そして、週所定労働時間を5時間以上延長するか、または労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、賃金規定等改定コース若しくは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施する。

①の条件のポイントは「手取り収入が減少しないように」です。労働時間を延長しても、その分時間給が下げられて収入が減ったのでは元も子もありません。新たに社会保険に加入をさせた上で、短時間労働者の収入減にならないことが必要です。

なお、5時間未満の延長対象労働者には、他のキャリアアップ助成金のコースである「賃金規定等改定コース」か「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」のいずれかを実施するということも条件になります。

②所定労働時間を延長した労働者を延長後6ヶ月以上継続雇用し、当該労働者に対して延長後の新賃金を6ヶ月以上支給している。

③所定労働時間を延長した日以降、当該労働者を雇用保険及び社会保険の被保険者として適用させている。

④所定労働時間を延長した際に、所定労働時間及び社会保険加入を明確にした雇用契約書等を作成、及び交付している。

⑤生産性要件を満たしたことによる支給額の適用を受ける場合は、生産性要件を満たしている。

受給額

助成金は短時間労働者の所定労働時間を1人当りどれくらい延長したかによって、金額が異なります。(1人当りの受給額、下段は中小企業以外)

週所定労働時間の延長時間受給額生産性要件充足
1時間以上2時間未満38,000円
(28,500円)
48,000円
(36,000円)
2時間以上3時間未満76,000円
(57,000円)
96,000円
(72,000円)
3時間以上4時間未満114,000円
(85,500円)
144,000円
(108,000円)
4時間以上5時間未満152,000円
(114,000円)
192,000円
(144,000円)
5時間以上延長19,000円
(142,500円)
240,000円
(180,000円)
*生産性要件とは生産性が3年前より6%伸びることです。
生産性=(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数
*助成金の支給対象者の上限は15人です。(参考サイト:お金借りるならおすすめはどこ?

助成金の受給手順

助成金を受給するまでには以下の流れになります。
①キャリアアップ管理者を配置するとともに、キャリアアップ計画を作成し、ハローワークに提出して認定を受けます。同時に、就業規則を作成または変更し、労働基準監督署に届け出ます。
②キャリアアップ計画を基に賃金規定を運用します。
③新しい給与の支給後6ヶ月を経た後、2ヶ月以内に助成金の支給申請をします。
④審査後、助成金を受給します。

短時間労働者の比重の高い企業はそれだけ業務効率が重要になります。短時間労働者を多く集めるより、長時間働ける労働者の定着を図った方が有効な場合が少なくありません。

なお、助成金は短時間労働者の週所定労働時間を1~5時間以上延長しただけで受給できるため、それほど難しい要件にはなっていません。